こんにちは!合同会社ジセダイ代表の佐藤です。
今回は、「AI開発の5つのアプローチ」というテーマで、皆様に役に立つような情報をお送りしてまいります。

はじめに

「AI開発」という言葉は今やビジネスシーンで頻繁に耳にしますが、実際にどのような種類があるのか、その全体像を把握している人は意外と少ないのではないでしょうか。AI技術の進化は目覚ましく、開発手法も多様化しています。

この記事では2025年4月現在、AI開発で実現できることを5つのカテゴリーに分けて解説します。この内容をもとに、皆さんの現在のプロジェクトにどの方法が最適か、またこれから実施したい内容でどれが最適か判断する助けになれば幸いです。

※この記事は2025年4月時点の内容となります。ご了承ください。

AI開発の主な5つのアプローチ

今回私は、AIに関する開発方法やパターンを、以下の5つに分類しました。
まずはその内容をご確認ください。

種類概要代表ツール
① AIによる開発補助開発者がコードを書く際に、関数補完・自動生成・コメントからの提案・テストコード作成などを支援するGithub Copilot、Cursor
② プロンプト設計型AIアプリ構築ユーザーが設計したプロンプトやフローに従ってAIが動作し、アプリが機能するよう設計Dify
③ 自動コード生成設計とプロンプトだけで、コードを一式自動出力しアプリを構築(※2025年現在は非実用)2025/4現在は有効なものが見当たらず
④ AI API活用型開発ChatGPTやClaudeなどのAPIを活用して、アプリにAI機能を組み込むChatGPT(OpenAI) API、Claude API
⑤ナレッジベース連携型QA設計書・手順書などを読み込ませ、プロジェクトに沿ったQAやガイドが可能(直接的なAI開発ではないが、補助的なものとして紹介)NotebookLM

一言で「AI開発」とはいっても、このようなパターンがあると考えています。
※厳密には「これAI開発?」というような内容もあるかもしれないですが、広く解釈していますのでご了承ください。

主要AI開発ツールの詳細解説

Github Copilot

※画像は公式サイトより

ツール名: GitHub Copilot
リンク: https://github.com/features/copilot
カテゴリー: ①開発支援ツール
解説:
GitHub Copilotは、プログラマーの強力な相棒として機能するAIツールです。コードを書いている最中に、次に書くべきコードを予測して提案してくれます。例えば、「ユーザー情報を取得する関数」と日本語でコメントを書くだけで、その機能を実装するコードを提案してくれます。

Visual Studio CodeやVisual Studio、JetBrains製品などの主要な開発環境で利用でき、Python、JavaScript、Java、C#など多くのプログラミング言語に対応しています。日々のコーディング作業を効率化するだけでなく、APIの使い方がわからないときや、テストコードを書く際にも大きな助けになります。

特に繰り返しの多い定型的なコード作成が大幅に効率化され、開発者はより創造的な部分に集中できるようになります。初心者にとっては学習ツールとしても役立ち、ベテラン開発者にとっては生産性向上ツールとして価値があります。

筆者自身も、個人開発などでGithub Copilotはよく使っています。サジェスト機能がその用途の9割以上で、今となっては戻れないぐらい快適です。

メリット:

  • コーディング速度の大幅な向上(30-40%の効率化)
  • 繰り返しの多いコード記述の自動化
  • APIやライブラリの使用方法を覚える必要性の低減
  • テストコードの自動生成
  • 新しい言語や技術の学習支援

Cursor

ツール名: Cursor
リンク: https://cursor.sh
カテゴリー: ①開発支援ツール
解説:
CursorはAIを搭載したコードエディタで、Visual Studio Codeに似た使い心地でありながら、AIによるコード支援機能が大幅に強化されています。最大の特徴は、エディタ内でAIと直接チャットしながらコードを書けることです。

例えば「このボタンをクリックしたときにデータを保存する機能を追加して」と指示すると、必要なコードを生成してくれます。また、エラーが発生した時に「このエラーを修正して」と依頼すれば、問題の解決策を提案してくれます。

Cursorの優れている点は、単にコードを生成するだけでなく、プロジェクト全体を理解した上で提案を行うことです。そのため、プロジェクトの構造やスタイルに合わせたコードを提供してくれます。新しい機能の追加やバグ修正、コードの改善など、日々の開発作業をスムーズにしてくれる頼もしいツールです。

メリット:

  • 自然言語での指示によるコード生成・編集
  • プロジェクト全体を考慮した提案
  • エディタ内でのAIとの対話
  • コードの説明やドキュメント生成
  • バグ修正や機能追加の支援

Dify

※画像は公式サイトより

ツール名: Dify(ディーファイ)
リンク: https://dify.ai
カテゴリー: ②AI駆動アプリ構築
解説:
Difyは、プログラミングの知識がなくても、AIを活用したアプリケーションを作れるプラットフォームです。例えるなら「AIアプリのためのWordPress」のような存在で、ブロックを組み合わせるような感覚でAIアプリを構築できます。

主に「チャットボット型」と「フォーム入力型」の2種類のアプリを作成でき、社内の業務効率化ツールやカスタマーサポート、専門知識を持ったアシスタントなど、様々な用途に活用できます。

特徴的なのは、AIへの指示(プロンプト)を視覚的に設計できる点です。また、会社の資料や専門文書などの独自データを取り込み、そのデータに基づいた回答ができるAIアプリを簡単に作れます。完成したアプリは、Webサイトに埋め込んだり、APIとして他のシステムから利用したりすることも可能です。

メリット:

  • コード不要でAIアプリを短期間で構築可能
  • 視覚的な操作で直感的に設計できる
  • 複数のAIモデル(OpenAI、Claude等)を選択可能
  • 独自データを活用した特化型AIの構築
  • ビジネスニーズに合わせたカスタマイズの柔軟性

ChatGPT (APIとして)

ツール名: ChatGPT API (OpenAI API)
リンク: https://openai.com/api/
カテゴリー: ④AI API連携
解説:
ChatGPT API (OpenAI API)は、OpenAIが提供するサービスで、自分が開発しているアプリやシステムにChatGPT、ならびにOpenAIの提供する機能を組み込むことができます。例えば、自社のカスタマーサポートチャットボットや社内ナレッジ検索システムに、AIの質問応答機能を追加することが可能です。

このAPIを使えば、テキスト生成、要約、翻訳、感情分析など、様々な言語処理タスクを自社のサービスに統合できます。最新のAPIでは、テキスト処理だけでなく、画像理解や音声認識など、より多様な機能も提供されています。

技術的には、HTTPリクエストを送信してAIからの回答を受け取る仕組みで、主要なプログラミング言語向けのSDKも用意されています。自社のデータや業務フローと組み合わせることで、ビジネス特有のニーズに応えるAIソリューションを構築できます。

筆者自身は、このChatGPT APIとn8nを使用し、個人開発としてちょっとしたアプリを作成しています。この詳細については、また別途ご紹介します!

メリット:

  • 高性能なAI機能を自社サービスに統合可能
  • 多様な言語処理タスクに対応
  • 開発リソースを節約してAI機能を実装
  • スケーラブルなインフラ(大量のリクエストに対応)
  • 定期的なモデルの改善と機能追加

費用:

  • 従量課金制: 使用量に応じて料金が発生
  • 実際のコストは使用量とモデルに依存

Claude (APIとして)

ツール名: Claude API
リンク: https://www.anthropic.com/api
カテゴリー: ④AI API連携
解説:
Claude APIは、Anthropic社が提供するAIサービスで、ChatGPT APIの代替として注目を集めています。Claudeの特徴は、特に長文の理解や複雑な指示への応答に優れている点で、より自然で人間らしい返答を生成します。

このAPIを使えば、自社のアプリケーションやシステムにClaudeの自然言語処理能力を組み込むことができます。例えば、高度なカスタマーサポート、詳細な文書分析、複雑な質問に答える社内ナレッジベースなどの構築に適しています。

APIの利用は比較的シンプルで、HTTPリクエストを通じてモデルにメッセージを送信し、生成された回答を受け取ります。複数のモデルタイプ(Opus、Sonnet、Haiku)があり、用途や要求される精度、応答速度に応じて選択できるのも魅力です。

メリット:

  • 長文の理解と一貫性のある回答生成
  • 正確さとニュアンスの理解に優れたモデル
  • 複数のモデルタイプによる選択肢
  • 使いやすいAPI設計と充実したドキュメント
  • 安全性と倫理性に配慮した設計

費用:

  • 従量課金制: 使用量に応じて料金が発生
  • 実際のコストは使用量とモデルに依存

NotebookLM

ツール名: NotebookLM
リンク: https://notebooklm.google/
カテゴリー: ⑤知識補助ツール
解説:
NotebookLMは、Googleが開発したツールで、自分の持っている文書やデータをAIに学習させて、それに基づいた質問応答ができるシステムです。例えば、プロジェクトの仕様書、マニュアル、社内規定などをアップロードすると、それらの内容を理解したAIアシスタントが作成できます。

使い方は簡単で、PDFファイルやテキストファイル、Googleドキュメントなどをアップロードし、「ノートブック」を作成するだけです。そのノートブックに対して質問すると、AIはアップロードした資料の内容を参照しながら回答します。

このツールの便利な点は、一般的な知識ではなく、特定の文書に書かれている情報に基づいた正確な回答が得られることです。例えば、「このプロジェクトのデータベース構成は?」と質問すると、アップロードした設計書から関連情報を抽出して回答してくれます。

他にも、YouTubeの要約を作成してくれることも可能です。英語の動画URLをYouTubeに貼り付け、「この動画の要約を作って」と指示したら、ものの数秒で作成してくれます。便利です!

メリット:

  • 独自のドキュメントに基づいた正確な情報提供
  • プロジェクト固有の知識ベース構築
  • 複数の資料からの情報統合
  • 資料の要約や分析機能
  • 専門知識の共有と活用

まとめ

AI開発の世界は急速に進化しており、様々なアプローチが登場しています。開発支援ツールから全自動コード生成まで、プロジェクトの性質や目標に応じて最適なアプローチを選択することが重要です。

現時点では、GitHub CopilotやCursorのような開発支援ツールが最も成熟しており、実用性も高いといえるでしょう。Difyのようなノーコード/ローコードプラットフォームは、AIアプリケーションの迅速な構築に適しています。ChatGPTやClaudeのAPIを活用した独自アプリケーション開発も、柔軟性と高度な機能を求める場合には有効な選択肢です。

一方、NotebookLMのような知識補助ツールは、プロジェクト固有の知識管理とチーム内のナレッジ共有において優れた成果を発揮します。そして、全自動コード生成は、まだ発展途上ですが、将来的にはソフトウェア開発の在り方を大きく変える可能性を秘めています。

自分のプロジェクトに最適なAI開発アプローチを見極め、積極的に取り入れることで、開発効率の向上と革新的なソリューションの創出を実現しましょう。

以上です、お時間いただきありがとうございました!